南北に視線と風が抜ける家

「素晴らしい眺めですね！この土地でプランを描いてみたいです！」

 

私たちの家づくりのスタートは、この原稿を書いているちょうど2年前になります。結婚後ずっと今の住居を借りていましたが、周囲の環境は気に入っていたものの、家賃をこのまま払い続けても資産にはならないということと、築年数不詳の古家であったため、夏冬の暑さ寒さが過酷であったことなどの理由で、漠然と持ち家を考え始めたのでした。当初は、予算の面から中古住宅を買ってリノベーションをするという発想しかなく、まずは不動産屋さんで物件を探すことを始めました。

しかし、なかなかしっくりとくる物件はなく、同時に家づくりについて真剣に考え情報を集めるうちに、せっかく家を持つのであれば、温熱環境がしっかりとした家、季節の移ろいが感じることのできる眺めのよい家、が求める家の条件となりました。特に温熱環境については、その時2歳になるぐらいの息子がいることと、将来、高齢の親と住む可能性があることから、必須の条件でした。くわえて、デザイン的な要素も私たちにとっては重要でした。

 

その条件から情報を集めていくうちに、OMソーラーが運営しているi-worksという提案住宅が私たちのニーズに合っているように感じ、何度か見学会に参加しました（実際には、親と住む可能性を想定すると間取りに難があり選択肢から外れました）。同時に、OMソーラー（よりもパッシブエアコンに興味がありました）に加盟している地元・京都の工務店という点から、住暮楽さんを知ったのでした。

初めて住暮楽さんの家の見学会に参加したのは、5月にしては暑い日のことでした。2歳になったばかりの子供をチャイルドシートに乗せて自転車で現地へ行きました。吹き抜けのある開放的なお家で、周囲の景色を巧みに取り込んだ作りになっており、清潔感があり、しかし温か味もある内装で、「こんな家に住んだら暮らしやすく、楽しいだろうな」と思ったのでした（社名の通りですね）。見学会の時はいつもはしゃぎ回る息子がその日は元気がなく、そのことをスタッフの方にお伝えすると（後からわかりましたが、ご対応いただいたのは会長さんご夫婦とさやかさんでした）、「自転車だと大変から車で送りましょう」と仰っていただき、息子と妻を自宅まで送っていただいたのでした。初めて見学会に参加するような私たちにも温かい対応をいただいたことが強く印象に残りました。

それから半年ほどは、家の性能（断熱・気密）を売りにする工務店さんや自然素材を売りにする工務店さんなど、住暮楽さんと合わせて、10数回ほど見学会に参加しました。その中で、洋介さんとお話しする機会が何度かあり、温熱環境についてしっかりとした考えがあり、かつデザイン性にもこだわりがあり、しかしどちらか両極端に振れるのではない、バランスの良さに好印象を抱きました。京都というある種特殊な気候の地域において家の性能をどこまで求めるべきなのか、という私の悩みについても明確に答えていただき、住暮楽さんに家づくりをお願いしようという気持ちが固まっていったのでした。

ただ、肝心の土地はまだ見つかっていませんでした。そうこうしていると、2年前、家探しを始めた時に、現在の住居の近くだけど価格が高かったため見送っていた物件が、当初より4割ほど安くなったのでした。そこで、すぐに洋介さんに連絡をとり物件を見ていただきましたが、私たちのほんの少し前に見学をしていた方が成約してしまい、また土地探しは振り出しに戻ったのでした。

その後はなかなか良い土地が見つからず、徐々に土地探しのエリアを広げていったところマッチしたのが今回の土地でした。ここは眺望が素晴らしく、洋介さんに見ていただいたところ、冒頭の言葉が出たのでした。この物件は建築条件付きでしたが、住暮楽さん経由で不動産会社さんを紹介していただき条件を外すことができ、成約に至りました。土地探しから不動産会社さん、銀行さんとのやりとりまで迅速にご対応いただき、非常に心強かったです。

そこからは家づくりの本格的なスタートです。何度も事務所に伺い、打ち合わせをしていただきました。打ち合わせ中には次男の出産もあり、小さい子供を二人連れた私たちにとっては、打ち合わせ中に子供をみていただけたのは大変助かりました。特に樋口さんへの長男の懐き様は私たちの想像以上で、息子は事務所に行くことが楽しみになり、毎週のように「今日、樋口さんちに行く？」（住暮楽さんではなく、笑）と言うほどでした。プラン作りでは、将来親と住む可能性があることや、収納力を確保したいこと、使いやすいキッチン、家事動線、書斎など、私たちの多くの細かい要望を叶えていただきました。打ち合わせが終わると、その回の図面をダイニングの壁に貼り、忙しい時でも隙があればずっと眺めていました。その私の姿を妻は呆れていたようです（笑）。完成したプランは、HEAT20のG2レベルをクリアした温熱環境で、眺望を活かした間取り、デザイン性と暮らしやすさも兼ね備えた、バランスのとれたものでした。

着工後は、現場が自宅から離れていたこともあり、頻繁に訪れることはできませんでしたが、おなじみの現場監督の森さんにお任せしておけば大丈夫という安心感がありました。あまりお会いすることができませんでしたが、磯部さんをはじめ大工の方々、工事関係者の方々には、丁寧に作業をしていただき感謝しております。現場に行くたびに、ずっと眺めていた図面が、想像以上の素晴らしさで形になっていくことに感動しました。工事終盤の見学で、その日は周囲の足場とブルーシートが外れていたのですが、2階のリビングに上がると眺望がパッと目に入ってきた感激は今でも忘れられません。

 

入居予定日まで後1ヶ月を切りました。どんな暮らしができるか、どんな暮らしをしようか、入居が待ち遠しくてワクワクする毎日です。

 

最後になりましたが、住暮楽さんのスタッフの皆さまには、家づくりに関わる様々な場面でお世話になりました。あらためて感謝申し上げます。これらかもどうぞよろしくお願いいたします。

 

（すみくらつうしん２０２０年１２月号より転載）