N様 |
京都市右京区 ★2015年2月完成 |
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今回、私たち家族は居住中のマンション内で部屋を移ることに決め、リノベーションを住暮楽さんにお願いしました。この間の経緯を少しお話します。 現在の部屋には私たち夫婦が婚約して以来、約八年間住んでいます。その間に子どもが二人生まれました。入居時や子どもの誕生に合わせ住みやすいように、 部分的なリフォームをしました。しかし、子どもが成長するにつれ、物も増え、部屋が手狭に感じるようになり、漠然と引っ越しを意識し始めたのですが、 次の住まいは自分たちの思いどおりに造りたいという希望を抱いている一方、土地を購入して新築となると予算的にとても厳しいので、中古住宅・マンションを中心に インターネットで物件を検索するという状態がしばらく続きました。条件としては予算面に加え、共働きということで子どもたちが実家の両親に世話になることが多いので、 そこからあまり離れないという地理的な面があり、なかなか希望の物件は現れませんでした。 長男も生まれ、長女の小学校入学が近づき、徐々にあせりが生じる中、祇園祭の宵山の夜に、ポストに投函されたチラシからマンション内の広い部屋(未改装物件) が売りに出されることを知りました。この機会を逃してはならぬ!と二人でその夜にチラシを眺めながら、内覧さえしていない物件の購入を即決しました。
そして、次はリノベーションを依頼する業者探しが始まりました。インターネットで物件を探している最中にリノベーションを依頼する業者探しもしており、 早い段階で住暮楽さんのホームページもチェックし、資料請求をしていました。ちなみに住暮楽さんのことを知ったのは私が立ち読みした雑誌に鹿児島の「シンケン」さんという 工務店が載っており、いいな〜と思い、色々と検索していたところ、住暮楽さんにたどり着きました。物件が決まった段階ですぐさま依頼をすればよかったのですが、 とりあえず近隣の二つの業者に見積を依頼しました。自家用車がなく、公共交通機関を駆使して子ども二人を連れ事務所に伺うことに加え、外では緊張しているのか ほとんどおっぱいを飲まない長男と元気いっぱいすぎる長女が打ち合わせの最中にじっとしていられるか不安だったためです。 さて、別の業者に見積を依頼したものの、どうも自分たちの思っていた感じと違うなあという印象でした。 例えば気に入った雑誌の切り抜きを渡すとそのまま出来上がってしまうような。こちらの希望について可否も含めて様々な提案を加えてくれる、そんな業者を希望していたのです。 また、ホームページを見て、マンションリノベーションの実績を多数持つ業者へも相談に行きましたが、そこはこれまでに施工した物件を「作品」と呼んでいました。 住まいはあくまで器であり、そこに住む人があってのものだろうとこちらは考えていましたので何となく相性が合わんなあということで見送りました。
ここまできてようやく、最後の砦として住暮楽さんに話を聞きに行こうということになりました。先述のとおり自宅からの移動に不安がありましたが、 地下鉄北大路からの送迎を依頼したところ、快く引き受けていただきました。(その後、打ち合わせの際には毎回お願いすることになります。) 初めて事務所に伺った際、床面が無垢材で木の良い匂いがしたのが印象的でした。今度の部屋は床面を無垢材にしたいと考えていましたが、 マンションの二階ということで防音面で不安でした。そこで相談したところ、すんなりと可能であると言っていただき、期待が高まりました。 また、この日は日曜日で八郎さんと祐子さんのお二人に応対していただき、長女の相手はずっと祐子さんにお願いしていましたので、 住暮楽さんの住まい造りに懸ける思いをじっくり聞くことができました。特に印象的だったのは子ども部屋は必要最小限にし、SHIPを設けるという点で、 これは私たちも以前から考えていたことでした。さらに、最近完成して引っ越しを済まされたお宅や建設中の住宅を見せていただくことができました。 八郎さんはいきなりアポなしでお宅に伺い(土間にアトリエのある、あのおうちです。)、見ず知らずの私たち家族も一緒だったにもかかわらず、 施主さんは本当に快くお住まいを見学させてくれました。工務店と施主との関係が本当に良好なことに私達は感銘を受けました。どちらも住み心地が良さそうな上に素敵で、 これはもうぜひ住暮楽さんにお願いしたいと思ったのでした。 そして、八郎さんと洋介さんに現地を見ていただき、「良い家になるよ」と笑顔でお墨付きをいただき、お願いすることになりました。
今回のリノベーションにあたっては妻の島根の実家を念頭に置いていました(妻は建築士である父の建てた木の家に帰省するとのびのびして、一㎝ほど身長が伸びます。)。 床面を無垢材にする、リビングに小上がりを設ける等々。広さは全く違いますが、マンションの一室にその要素を詰め込めたらと思い、二回目の打ち合わせの前に洋介さんへ 電子メールで要望を伝えたところ、私達のプランに近いといった内容のお返事をいただき、相性の良さを感じました。そして打ち合わせで提示された図面はこちらの要望に加え、 より住み心地が良くなるように考慮され期待以上のものであり、この時点で原型はかなり出来上がっていました。夫婦二人で間取りを考えていた頃は全然まとまらなかったのに、 洋介さんの図面に納得し、妻はこの時点で「燃え尽きた・・・」と言っていました。確かに、図面をもらってからは家造りの会話が減っていきました(笑)
この後、完成見学会に二回参加させていただきイメージを膨らませ、電子メールで細かい要望等を伝えました。妻は愛読書である「暮らしの手帖」「天然生活」などの 誌面で丁寧に生活している人たちの住まいや台所などを育休を利用し、悶々と研究?していたようです。 今回のリノベーションに際し、 その中で一番気に入った住まいを造られていた中村好文著「普通の住宅、普通の別荘」を購入し、打ち合わせに臨みました(洋介さんにも購入していただき、 意思疎通を図っていただきました。(笑))。最終的には私たちの要望を全て詰め込み、それに加え、例えば部屋の一部で天井の高さを変える等のアイデアも出していただき、 満足のいくものが出来上がりました(ちなみに、住暮楽さんからいただいたアイデアはほとんど受け入れました。というのもやはりこちらは素人であり、 プロの方が検討していただいたものであればそれに勝るものはないだろうと思っていましたので。)。予算面では当初の予定より少しオーバーしましたが、 二度と無いかもしれない、家造り。二重窓や堀ごたつを追加しました。
十一月中旬から解体が始まり、いよいよ改装工事が始まりました。既存の壁等を全て撤去してからの作業ということで、各部屋の断熱の様子等、 普段目にすることができない部分も確認することができ、こういった部分も新築マンションには無い利点ではないかと思います。 幸い、同じマンション内なので、毎晩、仕事帰りに進捗状況を見させてもらっています。念願だった無垢材の床が貼られ、 壁に仕切りができていく様を家族皆で確認しながら過ごしているところです。図面を元に、黙々とわが家を組み立て、造ってくれている大工の磯部さんに朝の挨拶をして、 保育園に向かうのが娘の日課になりました。現場監督の森さんには現場で一緒に体感しながら、素人の私達にもイメージがわきやすいよう、一つずつ確認作業などを行ってもらい、 ガンガン進めてもらっています。新築の家造りより、時間的に短い中で行われていく改装工事のため、次から次に決断を迫られることが多く、 私たちだけでは何かと不安が残るといけないので、森さんに意見を仰いでいる毎日です。
さて、これを書いている時点(正月三が日現在)の進捗状況は半分くらいでしょうか。休み明けにはすぐ、珪藻土の壁塗り作業が待っています。 元来、私たちはDIYには無縁なのですが、自分たちの家造りに参加したくなり、思い切ってチャレンジすることにしました。 失敗しても目立たないように寝室と子ども部屋のみですが。これも住暮楽さんの家造りへの姿勢からの影響かもしれません。 完成後の新生活を想像するとわくわくします。自然素材が古美る(ふるびる)良さを感じながら、家族で楽しく暮らしていきたいと思います。
(すみくらつうしん 2015年1月号より、転載)
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