赤ちゃんが自由に動ける家が欲しくて


O様

京都市左京区  ★2013年2月完成

一年前・・

この年末年始で壁塗りの作業も進み、家の完成までもう一息のところまで来ています。一年前の今頃を振り返ると、全く思いもかけない出来事です。一年前の今頃・・・。妊娠七ヶ月で大量出血してK大病院に救急搬送され、二四時間点滴、ベット上で出産への不安が募る毎日を過ごしていました。
夫とともに一日一日を指折り数える日々でしたが、病院の医療スタッフや職場のみんなの支えで何とか持ちこたえ、3月に無事息子を授かることができました。長期入院して体力が落ちており、初めての育児、さらに寝ない赤ちゃんでヘロヘロの毎日でしたが、赤ちゃんの一ヶ月検診を過ぎた頃から現在住んでいるアパートの部屋の狭さに問題を感じるようになってきました。
すでに出産祝いなどの品々で部屋があふれていましたし、何より赤ちゃんが動き始めたとき、自由に動けそうな空間が殆どなかったからです
 

家探し

持ち家志向のなかった私達は、はじめは、今より部屋の広い賃貸物件への転居を考えていました。しかしながら、将来的なことを考えると一軒家のほうがいいかもしれないと思い、新聞の折り込みチラシやインターネットで物件をチェックし始めました。自由に動ける夫には、実際に物件を見に行ってもらったりしました。
しかし、私達がいいなと思う物件は全くありませんでした。こうしたなかで、自分たちがどんな家を求めているのか具体化してきたような気がします。私達の希望は、
・木を使った家であること
・土のある庭があって、木が植えられること
・玄関から続く土間があって、アウトドア用品を収納できたり、一時的に置けたりすること
・光熱費があまりかからず、もしできれば薪ストーブがおけること
でした。やっぱり定年後の田舎暮らしでしか実現できないな〜と、特に夫は家を買うことに消極的になっていきました。しかし私は、もしかしたら住暮楽ならそれに近い家ができるんじゃないかと思い、ダメ元で夫に「住暮楽のホームページを見てみて」と言ってみました。
実は私は、洋介さんの奥様と大学時代の知り合いで、洋介さんが住暮楽でがんばっておられることを聞いており、洋介さん達の新居ができた際など、たまにホームページを見ていたからです。すると夫は、ホームページにある建築実例のフォトギャラリーを何度も何度も見て、私が想像する以上に気に入ったようでした。
ただ、注文住宅ということで値段が気になり、きっと私達には無理だろうなと言いながら、洋介さんの奥様に連絡を取ってみることになりました。

「木の家」をつくる

洋介さんの奥様に連絡をしたところ、「きっと住暮楽なら希望の家もつくれると思います。いろいろお話もしたいし、まずはうちに遊びに来てください。」ということで、出産報告も兼ねて早速家に伺うことになりました。このとき息子は約生後一ヶ月半、私にとっても病院や買い物以外のほぼ初めての外出でした。
洋介さん一家に温かく迎えられ、私はとても嬉しく、ついつい話し込んで長居をしてしまいました。そして木をふんだんに使った家の作り、薪ストーブ、土いじりもできる庭、広い玄関収納、どれも私達の感性に合い魅せられました。家を買うことに消極的だった夫が変わり始めました。

土地探し

まずは土地探しと言うことで、そんなにいい土地はすぐには見つからないだろうし、ぼちぼちやっていこうと思っていたところ、たまたま通りかかった所にとてもよい売土地がありました。それが現在家を建てている場所です。ここは現在区画整備中の保留地ということで、手続きが大変でしたが、洋介さんにもお世話になり、なんとか購入することができました。そして住まい教室での講義を受け、設計を始めることになりました。
住まい教室では、住暮楽とクラさんの住まいに対する考え方をとてもよく理解することができ、その後の設計における話し合いに大きく役立ちました(京都市の風向分布から窓の位置を考えるなど)。そしてその時何より驚いたのが、地元の木を使う地産地消の概念と、木を使うことこそがCO2の固定につながり地球温暖化防止に貢献できるとクラさんが説いてくれたことです。これってどこかで聞いた台詞、、、実は森林に携わって働いている私が日頃から言ってきたことだったからです。
こうした思いをもって実現実行している人に身近に出会えたこと、そして自分の家でそれが実現できるかもしれないことに大きな喜びを感じました。

   

いよいよ設計

設計士の高田さんとの打ち合わせは、息子がちょうど3ヶ月になった頃から始まりました。長い時間、息子を拘束することに不安でしたが、子育て上手な祐子さんが毎回面倒をみてくれました。いろいろご迷惑をおかけしましたが、祐子さんに会う度に息子が成長していく気がし、息子にとっても、楽しい時間となっていたのではないかと思います。
設計は、はじめに私達の要望をお話すると、それに基づいて高田さんがすらすらと図面を書いてくれました。盛りだくさんの要望でしたが、ほぼすべてがかなう図面でした。細かい修正はありましたが、ほぼこの初回での案が現在の家の枠組みをつくっています。設計段階では、「なぜここに吹き抜けが?」、「なぜこんなところにも窓が?」など内心思っていた点もありましたが、
実際立体化されてみると、「この吹き抜けがあるから開放感があるんだ!」、「ここに窓があるから部屋全体が明るくなるんだ!」と高田さんの空間に対する気遣いに改めて感心させられました。また設計全体で3ヶ月の期間があり、はじめは気が遠くなるほど長いなと思っていたのですが、振り返ると、図面を読み込み考え自分たちの家としてイメージしていくのに必要な時間だったと思います。
とくに慣れない育児で目の前のことしか見えなくなっている私に、小さな息子が成長していく未来や、将来の家族像へ思いを馳せる時間を与えてくれました。

この木の山を訪ねたい

設計打ち合わせが終わると、地鎮祭、地盤改良、上棟、木工事とあっという間に進んでいきました。上棟の日は、大工さん達の息の合った作業でどんどん家が組み上がっていく様子に本当に感激しました。そして上棟に際しては、私達にとって思い出深い花脊の地にある製材所で多くの木材を用意してくださったとのことで、そちらも大変感激しました。特に一階の梁は、木の年輪の成長が一つ一つ分かるすばらしい材で、家が完成したら、それらの木が生えていた山を一つ一つ訪ね、家族でお礼参りに行きたいと考えています。


 工事が始まると、週末に現場を訪ねる度、磯部さんが精巧な作業をされていて、実際は金槌の音などが響いているにも関わらず、その場の空気がシーンと静まりかえっているように感じました。きっとこの家に住んでからも、土間から2階にかけての吹き抜けの板張りを見る度、磯部さんが壁に張り付いて作業されていた様子を思い出すことでしょう・・・また現場では、想定外?のいくつかの問題も発生しましたが、その度洋介さんにお世話になり、すばらしいアイデアで対処してもらいました。
現在は、木工事もほぼ終わり、左官屋さん、塗装屋さんなど様々な方が現場に来てくれています。造園の浅見さんとの外構の打ち合わせもありました。浅見さんが持ってきてくださった案は、驚くほど私達の理想としていたものに近く、どんな庭になるのかわくわくしています。これも洋介さんとお客様アドバイザーの新枝さんが、家の外観を私達にぴったりな山小屋風にしてくださったおかげです。このように多くの方々に私達の家造りに関わっていただき、今感謝の気持ちでいっぱいです。そして、この山小屋風の家で息子がどのように成長していくのか本当に楽しみです。
完成が近づく一方で、住暮楽の事務所に行く機会がめっきりなくなってしまったのが寂しい限りです。住暮楽のみなさま、そしてこんな私達に家を建てる機会を与えてくれた洋介さん、本当にありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いいたします。


(すみくらつうしん 2013年2月号より、転載)