一年ほど我が家は売りに出ていました


K様

京都市中京区  ★2013年3月完成

広くて窮屈な家

以前私たちが住んでいたのは、主人が建てた(ローン支払い中の)二世帯住宅でした。やがて父が他界したことで三人家族になり、日当りも悪く古びていた一階は使わず二階だけで生活するように。それから何とも居心地の悪い数年を過ごしました。  一階は物置状態になり、掃除も行き届かず。庭に出ることもなく、二階の片隅に家族三人が寄り集まる毎日。土地も建物も全く生かし切れない生活に不満を持つようになりました。さらに娘(現在七歳)が一階を怖がるようになり、「これではいけない」という気持ちが日増しに強くなっていきました。

暮らしを変えたい!

しかし、何せローンが残る我が家。新築なんて恐れ多く、まずはリフォームを検討しました。…が二世帯住宅のリフォームは費用もバカにならず、そもそも三人家族にはムダな広さ。一時は売却も考え、一年ほど我が家は売りに出ていました。…しかし、売れず。  その間、住宅情報を目にするうち「ローコスト住宅なら新築できるんちゃう?」と妄想するようになりました

理想の我が家を探す日々

それからというもの、家族の話題は「どんな家に住みたいか」  まずは、年月の経過が味になる家。新建材でできた我が家は築二十年足らずですでにみすぼらしく、傷や汚れも馴染んでいく自然素材の家に憧れました。そして、どこにいても三人一緒に過ごしているような開放的な間取り。庭やガレージ(主人の趣味の場)との一体感があること。収納が集中していてスッキリ片付くこと…などなど。「そこまで考えるか?」とつっこまれるほど、事細かに理想の我が家を話し合いました。  しかし忘れてはならないのが予算。ローンの残額や解体費用を考えると全く余裕がなく、「ええな」と思う工務店を雑誌で見かけても「高そ〜」の一言で抹消されていました。実は、住暮楽もその一つ。掲載されていた予算の目安を見て「ムリ!」と決めつけていました。  そうして何件かの工務店に話を聞きに行ったり、見学会に行ったりしましたが、ピンとくるものがないまま妄想だけが膨らんでいきました

住暮楽との出会い

そんなある日、主人が「見学会行かへん?」と連れて行ったのが、住暮楽の完成見学会でした。「高そ〜」と言いながらも気になっていろいろ調べていたようです。私はと言えば「OMソーラー」も「セルロースファイバー」も初耳。それでもこの見学会ではいくつかのことが印象に残りました。それは、家中に漂う木の香りと柔らかい木の色合い、杉床板(4㎝厚)の足触りがとっても心地良かったこと。住暮楽のスタッフが皆話しやすくて何だかリラックスできたこと。 それから、私たちの事情を聞いた社長がおっしゃった一言。「何とかなりますよ」 これにはちょっとだけ肩の力が抜けたような気がして、帰りの車の中「何とかなりますかねえ」と笑い合ったものです。

他社での落胆

しかし、この時点ではまだ「こんなに無垢材ばっかりで手入れ大変ちゃうの?」「絶対高いよなあ」と現実味がなく、またしばらく工務店探しが続きました。そして、そのうちの一社が「自然素材」と「セルロースファイバー」を使った家ということで気になり、設計までは無料だったので、試しに図面を描いてもらうことにしました。…が「ハイハイ」と笑顔で要望を聞いてくれるものの、出来上がったものは何だかいまいち。何度か描き直してもらいましたがいまいち感は変わらず。要望はすべて追加料金となって予算オーバー。結局、実際に建っている家を見学し、窮屈でムダの多い間取りに「これはない」とお断りしました。

やっぱり住暮楽

再びある日。車で出かけた時に主人が「住暮楽このへんやねん」と住暮楽事務所まで連れて行き、突然訪ねてパンフレットを数冊もらってきました。やっぱりずっと気になっていたようです。この時、近々構造見学会があること、住まい教室が開催されることを知り、どちらも参加することにしました。構造見学会では、斬新で広々とした間取りと作りの丁寧さに「住暮楽いいやん」と思い始めました。住まい教室では、家づくりをいろいろな角度から考えることができそれまでの家に対する妄想が随分具体的なものとなりました。なかでも、「広い家より広々とした家」というフレーズには、「そう!それやねん!」と心で叫んでいました。広い家なのに窮屈な思いをしていた私たちにとってそれは一番の望み。そして「小さな家でもシャとヌケによって広々とした変化に富んだ空間ができる」と話す社長を前に、「妄想が実現するかも」と嬉しくなりました。  その後、洋介さんの家にお邪魔したり、土地を見に来てもらったりして話が深まるうちに、すっかり「住暮楽で建てたいなあ」と考えるようになりました。もともと、うさん臭い営業スマイルや営業トークが大の苦手な私は、住暮楽スタッフの率直な物言いや気さくな人柄に惹かれました。最後の最後までもう一社(ローコスト住宅)と迷っていましたが、「満足できる家を建てて長く大切に住もう」と、予算的に厳しいのを承知で、住暮楽にお願いすることにしました。

迷いを断ち切って

まもなく資金計画にも目処が立ち、次はいよいよ設計申し込みとなりました。やっと家づくりが現実にスタート!しかし、ここにきて私はもう一度悩みました。「本当にまだ住める家を壊して、無理をしてまで建て替えるべきか」 それでも、娘の成長や家族で過ごす時間の大切さを考え、「今建て替えることに意味がある!」と申し込みを決意しました。

いよいよ設計

設計の髙田さんは、やっぱり住暮楽らしい人で、ワクワクしながら打ち合わせに臨みました。さっそく私たちのとりとめのない要望を聞くと、必要なものは拾い、ムダなものは切り捨て、ささーっと図にしてしまいました。設計の早さにも驚きましたが、何よりも驚いたのは玄関が北側にあったことです。うちの土地は東西に細長く、しかも西から入って一番奥に建物があるので、玄関は当然西側だろうと…。しかし、「土地との一体感を重視するなら西側を玄関で閉鎖してしまうのはもったいない」「表に門扉があるから玄関で接客することはほとんどない」と納得し、目からウロコの髙田案でお願いすることにしました。(主人はだいぶ迷っていたようですが…)  設計期間は毎晩のように図面を広げ、主人と「あーでもない。こーでもない。」と家族会議。打ち合わせの度にあれこれ注文をつけましたが、決して嫌な顔はせず、きちんと意見してもらえたのが嬉しかったです。  こうして、間取りの一体感のため、そして予算削減のために、間仕切りも玄関ホールも廊下もできる限り省いた結果、出来上がったのは大きなワンルームのような設計図。溜め込んでいたイメージが形になったと大満足でした。

   

現場での毎日

九月初めには仮住まいへ引越し、すぐに解体。思いがけない地盤改良もありましたが、十一月に入って無事、上棟の日を迎えました。我が家の上棟は二日がかりでしたが、立体になっていく様子や大工さん達の作業が興味深く、飽きもせずにずーっと見学していました。  それからも、仮住まいが近いのをいいことにヒマさえあれば現場へ。日に日に形になっていく我が家を眺めて感動の毎日でした。そして、コツコツと進む大工さんの木工事は本当に丁寧で、美しい仕上がりに主人と「すごい!」を連発していました。なかでも、磯部さん手作りの階段、雪の花背製材所で選んだ檜のキッチンカウンター、吹き抜けを囲む縦桟の手すり、部分的に取り入れた板張りの壁…等々は、とっても気に入っています。  頻繁に現場へ行くことで気づいたこと、思いついたことも多く、洋介さんからのアイデアや提案を頂きながら、自分たちの考えが反映されてできていく家にますます愛着を持ちました。

いっぱい塗りました

 十二月に入り、外壁に使う板を主人と二人で塗装しました。「節約のためなら何でもします!」と宣言した私たちは、外壁だけでなく、ウッドデッキとベランダの塗装、室内の壁塗りも自分たちですることになっていました。決して楽ではありませんが、作業自体は楽しく、たとえ下手でも苦労して一生懸命仕上げたものが家の一部になっていくのは、本当に嬉しいものです。(足場が必要な壁塗りは、すっかり洋介さんと峠原さんのお世話になりましたが…。)また、この経験を生かして、住んでからもメンテナンスしていこうと思っています。


住暮楽に感謝

さて、長々と書いてしまいましたが(全然書き切れてませんが…)、そんな我が家も間もなく完成です。まだまだ細かい仕上げはこれからだけど、本当にすばらしい家が出来ました。この家に住めると思うと、もう嬉しくて嬉しくて…。予算が底をついたので、外構はできないし、家具も何もあんまり買えないけど「何とかなりますよ(笑)」住みながらちょっとずつ変えていくのもまた楽しみのひとつです。 こんなステキな家をつくって下さった住暮楽に関わる全ての人に感謝!!本当にありがとうございました。住暮楽との家づくりは、とっても楽しかったです。そして、これからもどうぞよろしくお願いします。


(すみくらつうしん 2013年3月号より、転載)