U様 |
京都市左京区 ★2016年8月完成 |
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「新しいお家で何したい?」と、3才の娘に聞いてみた。「はしりたい」と即答だった。夫婦で小さなお店を営む私たちは、仕事中にお店で 「走らない」と娘に言っていた。2DKのマンションに帰ると、下の階の部屋には小さな赤ちゃんが眠っており、「走らない」と、いつも言っていた。 しかし3才児は、とにかく走りたい年頃らしい。私たちは、駅から徒歩4〇分の山の麓にある土地を購入した。 娘よ、走れ!」
自宅マンションは、2階建ての2階でエレベーターはない。娘は、いつの頃からか、一人で上手に階段を昇り降りできるようになった。毎日、嬉しそうに行ったり来たりしているが、 小さい頃から足が弱いので、よくコケていた。駅から徒歩4〇分の山の麓の土地には、敷地内に32段の階段がある。約6メートルの高低差で、大人でも階段の途中に一度立ち止まるほどで、 ちょっとした登山だ。「娘よ、強くなれ!」
土地を購入してから、初めて住暮楽に電話をする。「なぜ、住暮楽を選んだのだろう?」それは、土地と同じ匂いがしたから。それだけである。 最初に訪れたとき、格好をつけて「他にも検討しています」と言ってしまったが、 嘘だった。住暮楽に決めていた。自宅の着工後に、ようやく住暮楽の家を見学に行った。格好良かった。
私たち3人は、地鎮祭、上棟、その後は外壁塗りと内装左官などで、しつこい程に毎週毎晩と現場にいた。山積みになった外壁の杉板を見たときは、 少し遠くを見上げた。が、すぐに慣れて要領をつかむ。少しでも職人技に近づけるように、試行錯誤を繰り返した。最初にラミネートされた夢のような図面を見てから、 1つずつ立ち上がる様子を見守ってきた。娘はそれを「大工さんの家」と呼ぶ。3才児は家づくりに携わる人すべてが、大工さんだと思っている。 「大工さんの家ってカッコ良いね」みんな、格好良かった。
「食育」のように、家づくりを学んだ。毎日の1つずつの変化に感動していたので、細かいことは忘れてしまった。「次はどうなるのか」と楽しみで仕方がない。 住暮楽で良かった。
最初にそう言われた時、なぜか嬉しかった。小さい家に暖かいものがいっぱい詰まっている様で、想像するだけで幸せになった。 結果、家づくりは初めてなので成功とか失敗とか分からないが、とても満足している。これからゆっくりと時間をかけて」、大きく育て ていこうと思う。
(すみくらつうしん 2016年8月号より、転載)