セルロースファイバー
セルロース
ファイバー
とは
セルロースファイバー(cellulose fiber)は直訳すると”植物のセンイ”という意味になります。1930年代のアメリカで、貧しいインディアンが丸めた新聞紙を天井裏に放り込んで暖気の逃げを防いでいることにヒントを得て開発されたと言われています。
アメリカでは今でも35%超のトップシェアを占めています。日本でも確実に効果の期待できる断熱材として最近ようやく認知度が上がってきました。
新聞の印刷工場から出る印刷残紙を細かく切り刻んでホウ酸やホウ砂を添加しただけなので、製造のためのエネルギーは極小です。寿命は半永久的ですから家を解体する時に回収してもう一度使うことも不可能ではありません。廃棄するにしても埋めれば土に還るし、焼却すれば灰になって何の害も及ぼしません。このような事情からセルロースファイバーは断熱材のなかで唯一”エコマーク認定”を与えられています。
●セルロースファイバー 10〜20kwh/m³
●グラスウール、ロックウール 100〜700kwh/m³
●スタイロフォーム 550〜1050kwh/m³
●発泡ポリウレタン 1150〜1350kwh/m³
セルロース
ファイバー
の特徴
1.断熱と気密、そして防音
セルロースファイバーはフレーク状で見た目より比重が重く、緻密に充填された断熱層はそのまま気密層になります。「断熱と気密」これが暖かさの秘訣ですが、セルロースファイバーなら同時に防音まで出来てしまいます。
2.燃えない、有毒ガスが出ない
セルロースファイバーはホウ酸ホウ砂などの安全な物質で不燃加工された国土交通省認定の準不燃建材です。高温の炎をあてても表面が焦げるだけで燃えません。焦げても有毒ガスを出しませんから、隣家が火事になっても類焼しにくく安全度の高い建物になります。
3.ミネラルの効果
ホウ酸ホウ砂などのミネラルを添加しているために、セルロースファイバー断熱材には次のような副次的効果があります。
撥水効果があるので、万一水に濡れても乾きが早い。
防錆効果があり、釘や金物を錆から守る。
昆虫が嫌い、また壁内にスキ間も無いので、ゴキブリが増えにくい。
4.呼吸する植物センイ
セルロースファイバーは元は木なので、木と同じように「湿気が多いときは吸い、乾くと吐き出す」という調湿作用があるので木造家屋に最もふさわしい断熱材だと思います。
よく
指摘される
欠点
1.壁内結露
センイ系断熱材はグラスウールと同じように断熱層の内部に湿気が進入するので壁内結露のリスクを指摘されますが、セルロースファイバーは相当過酷な実験をしても結露しないことが分かっています。
グラスウールはセンイを解きほぐして行くと最後は一本のガラス棒に行き着きますが、セルロースファイバーは天然のセンイなのでどこまで行ってもセンイのままです。これが「呼吸はしても、結露しない」セルロースファイバーと「呼吸しないが、結露はする」人工センイとの違いだと思います。
2.壁内での沈下
セルロースファイバーの施工は「片面壁材、片面防塵フィルムによって形成された厚さ12センチ程の空洞」に強力なブロアでフレーク状の断熱材を吹き込み充填することによって断熱層をつくります。時間の経過とともに断熱材が沈下し、やがて上部にスキが空いて断熱欠損が出来るのではと懸念されることがありますが、セルロースファイバーには適度な弾力性があって、またブロアは極めて強力なので、作業者がふつう程度の注意力を持って施工にあたれば何の問題もありません。むしろ断熱欠損の出来にくさがセルロースファイバーの長所だと思います。
当社は、時々実際の充填密度を専門の検査用具で測りますが、これは施工ミスの発見というより充填密度の感覚を作業者に覚えさせるのを目的としています。
住暮楽の家/H邸(左京区北白川/H13年竣工)
玄関に入ったとたんホンワリとした暖かさを感じます。家の中ではたいてい靴下一枚で過ごしていますが、妻は冷え性なので寒い時はレッグウォーマーをすることもあります。夫は2階で長時間パソコンをする時にスリッパを履いています。
足下のひんやり感は他の家にくらべ断然少ないと思います。夫が暖かい中で薄着で過ごすのが好きなので、他の住暮楽の家に比べると室温は高いかも知れません。以前の家に比べれば広さが2倍以上になっているにもかかわらず、暖房の使用は前と同じでいけているので、暖かいのだろうと思っています。
息子(2歳)が外出時に服を着たがらないので、いったん外へ出て寒いことを知らせてから服を着せています。この家では北に面した2階の寝室が一番寒い部屋ということなりますが、寝る前に入り口を開け放して暖気が回るようにしているので、今年の冬はまだエアコンを使用したことはありません。
結露は以前の家に比べてうんとマシなことは確かです。ガラス部分はほとんど無くてアルミの枠のところに出ます。時々タオルで拭いています。
住暮楽の家/M邸(右京区常盤/H13年竣工)
暖房は1Fリビングにあるファンヒーターを毎朝6時から8時くらいまでつけて室温18度くらいになれば切って、日中はほとんど暖房しません。よっぽど寒い時は30分くらいつけることもあります。夜は夕方6時くらいから3〜4時間ほどつけています。
どこにいても足下が冷えることはまずありません。妻は素足にスリッパ、子供はずっと裸足、夫は靴下のみでスリッパ無しです。暖かいことも無ければ寒くもありません。
家中が吹きぬけを通して一体となっているので、家の中で特に寒い場所というのはありません。玄関も外気温とはずいぶん差があって暖かいです。寝室は以前のマンションと同程度の冷え方で、布団から出にくいと思ったことは入居以来一度もありません。
脱衣室も居間と続いた間取りになっていてそれほど温度差はありません。子供がお風呂から上がった後なかなか服を着たがらず裸で走り回っています。
結露は寒い朝南側の窓のアルミ枠の下の部分に少し。ガラスには結露しません。戸建てに移って光熱費の増加を覚悟していましたが、マンション(床面積3分の2程度)に住んでいた時とあまり変わりませんでした。他の家にくらべればずっと暖かいと思います。
ふつうの家/K邸(西京区御陵大枝山町/H10年竣工)
冬は玄関、トイレ、浴室、廊下、使わない部屋はたいへん冷え冷えとします。居間は強制排気の灯油の暖房機を使用しています。結露もひどいものです。居間に太陽があまり射さないのでなおさら暖房器に頼らないと部屋は暖かくなりません。
家の中でも寒くならないように重ね着しています。外出から帰った時も何とか居間が暖まるまで上着を着たままで動いています。ひどく寒い時は入浴の時は脱衣場で温風電気ヒーターを使用しています。