木の家工務店 住暮楽

エコなくらし 住暮楽な家づくり
ストーリー

家づくりストーリー情報

住暮楽で家を建てられたお客様自身の文章を掲載しています。家づくりのヒントになれば幸いです。

コの字型キッチン&長いテーブルのある家

このお家の完成見学会を開催します。

2025年10月18日・19日 (予約制)

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六月上旬のある日。夏の日差しの中とんぼが舞い、そのそばを大きなクレーン車が上手に電線を避けて木材を運ぶ姿がありました。上棟の日です。梁の上をすいすい歩く大工さんに感動をしながら、目の前で家が立ち上がっていく様を見ていると、これまで話していた図面は本当に私たちの住む家になるんだという実感がわき、ここまでの家づくりについていろいろな考えが頭を巡りました。

私達は夫婦と子ども二人の家族四人で京都市内に住んでいます。実は住暮楽さんのことは、家づくりを本格検討する前から知っていました。娘の友達の家に家族で遊びに行かせてもらったとき、たっぷり木をつかった優しい空間にびっくりし、思わず「どちらの建築会社さんですか?」と聞いたのです。家全体がおおらかで居心地がよく、いままでお邪魔したどの家よりも素敵でした。ほかの建築会社のプランでどこか物足りない気持ちになったのは頭の中に住暮楽さんの家があったからだと思います。

そういえば、建築会社を回るなかで違和感を抱いたことがありました。夫婦共働きで家事も二人でしているのに、なぜか「仕事の話は夫にする」「キッチンの話は妻にする」ということが続くのです。今日はキッチンの話はされませんように、と思いながら新しい会社を訪問すると、「それで奥さんはどんなキッチンにしたいんですか」などと聞かれます。「食事は九割夫が作るんですよ」と答えましたが、後に夫から「あれは怖かった。にこにこしてるのが恐ろしかったし、本当は六対四くらいなのに九割と言うあたりも怒りを感じた」と言われました。私は、その後もキッチンの話をし続けた担当者のほうが怖いと感じましたが。住暮楽さんで、洋介さんと夫が作り置きレシピの話をしているのを聞いているときに、心底ほっとしたものです。

家をお願いすると決めてから打ち合わせは順調に進んでいきましたが、そのなかで印象的な出来事がありました。それはざっくりした間取りが固まりつつあり、微修正をしていたときのこと。設計をおまかせしていた洋介さんから「この位置に構造上柱が必要なので、キッチンを15センチ縮めたいと思います」と告げられました。

「わかりました。柱、必要ですもんね」と答えるターン。しかし言葉が出てこず、じっと図面を見つめてしまいます。あれ、そんなに大変なことだっただろうかと、しばし無言の時間が流れます。安心させるよう「キッチンは15センチ小さくしても十分大きいですよ」と声をかけていただき、夫も「構造上なら仕方ないもんね?」と促します。今度こそ何か言わなければいけない場面で出たのは、「キッチンは小さくてもいいけど、すかっとした抜け感がなくなるのが悲しくて…」という言葉でした。

たぶんそこにいた誰もが「え、そこ?」と思ったことでしょう。そもそもキッチンをメインで使うのは夫なのです。「じゃあ、柱を立てるということで」となっても仕方がないところですが、梁の太さや向きなどでできることがないか、もう一度考えていただくことになりました。家に帰ってからも柱を感じにくくできないものか、図面とにらめっこをし、そこから数日、夫が夜な夜な考えた配置案は10案までありました。ほかで解放感を出すことで柱も気にならなくなり、洋介さんと相談してさらに素敵なキッチンになりました。

このときのことは今でもよく話に出ます。親戚にも「10案目のキッチン楽しみだね」と言われます。どこの会社にお願いをするか考えていたときに夫が「相談しやすい人がいい」と言っていた意味が、後になってよくわかりました。素人なりに考えた「こういう家が好き」を否定されたことは一度もありませんでした。

思えば、どんな家にするかという相談段階から、自分たちの家であると同時に住暮楽さんの作品でもあるという気持ちがありました。そのため、これまで見てきた住暮楽スタイルの家と違う希望をどこまで言っていいのかという迷いのようなものを持っていました。こんなことを書くと、ずっと我儘を聞いてきた洋介さんに「ほんとかよ!」と突っ込まれそうですが、一応そのような謙虚な気持ちも持ち合わせていたのです。しかし打ち合わせを重ねる中で、家でどう過ごしたいかという気持ちを受け止めてもらえる安心を得、そのような会社だからこそ私達も、関わったメンバーが納得できて「いい塩梅に落ち着きましたね」と言えるような家がいいなぁと思いました。

さらに 言えば、家は地域のなかにあるものという意識も芽生えていきました。吹き抜けの二階部分に、大きめの窓を設け、そこに丸い照明をつけましたが、それはいつか通った京都の町家の間にぽかんと浮かぶ大きな提灯のイメージでした。通る人がちょっと見上げて、「お、きれいだな。満月みたいだな」と思うようなもの。住む人も周りの人も気持ちのよいもの。そんな考え方をしたことはなかったので、家づくりを通して意識も変わったのだと思いました。なんて書くとまた、頭の中の洋介さんの「それにしては要望たくさん言ってましたね」という声が聞こえてきますが。

上棟は数時間でだいぶ進み、気づけば家はもうだいぶかたちになっています。あぁ、こんなにたくさんの人の手を借り、長い時間をかけて絶対に自分では作れないものを作ってもらい、その中で生活をするんだなぁという気持ちがこみ上げます。ただただ家のことを考える。ひたすらどんな家に住みたいか、どう過ごしたいかを考える。 こんなふうに一から家づくりをすることはもうないかもしれません。少なくとも、いまの家族のかたちで考えることはもうないでしょう。家のことを考えているようで家族を見つめなおす、長いようで短い濃密な時間でした。

(すみくらつうしん2025年10月号より転載)

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