家庭菜園と木の香りのある家

七年かかった土地探し

約七年。私達が土地探しにかかった時間です。
生まれ育った京都市内で土地を探していた私は、休日の朝は夫婦で新聞広告の不動産情報をチェックすることから始まり、平日も時間があればインターネットで検索、少しでも気になった土地は必ず見に行きました。しかし、ここにしようと決めた土地が僅か三十分差で他の人に買われてしまうなど、私達の土地探しは難航していました。
元々私達の理想は、祖母の家の近くにあった海を眺めるログハウス。その中に入った時の木に包まれた安心感に一目惚れしました。しかし、欲を言えばもう少し収納と動線の良さ等の利便性が欲しい。そしてそもそも京都市内にはログハウスは防火、景観上の理由で建てられない。そこで土地探しと並行し、多くの工務店や建売住宅を見学しましたが、どこもおしゃれに飾ってあるもののひんやり人工的な冷たさを感じ、私達が求める木の安心感はありませんでした。

住暮楽との出会い

そんな中、雑誌で住暮楽さんを知りました。早速主人が当時三歳だった長女を連れてお話を聞きに伺いました。私は産まれて間もない次女と留守番をしていたのですが、帰って来た主人の満足そうな顔を見て、住暮楽さんへの期待が膨らみました。
そこから住暮楽さんの完成見学会巡りが始まりますが、木や珪藻土など自然素材に溢れた家と、八郎さんと祐子さんのあたたかいお人柄にすっかり私も惹かれていきました。

自分の思考を確かめる

住暮楽で家を建てたい！と決心した後も、まだまだ土地探しは続くのですが、四年後、ようやく土地が見つかりました。そしていよいよ始まった洋介さんとの打合せは、毎回楽しく濃密であっという間に時間が過ぎていきました。しかし、七年間も土地探しをした私達は意気込み過ぎていたのか、洋介さんが毎回出して下さる図面や、お伝えした自分の希望さえも、「本当にこれで良いのか、もっと最善のものがあるのではないか」と感じなかなか考えをまとめられずにいました。延長戦にまで持ち込んだ打合せの期間中、自分にとって重要なのは何なのか、これからどの様に生きていきたいのか、自分の思考をひとつひとつ確かめている感覚でした。そして理想はありつつも予算の壁が立ちはだかる。考えこんでしまう私達を前に洋介さんは「う～ん、そやね～」と言いながらいつも優しく受け止め、何度も何度も図面を書いて下さいました。そして最終決定した図面が、洋介さんが最初に私達の希望を聞いて書いてくださったものとほぼ同じになっていることに気づいた時は、本当に驚きました。

そして着工、DIY

そこから先は着工、地鎮祭に上棟と順調に進んでいきました。磯部さん達職人さんが雪の降る中でも黙々と作業して下さる姿には感謝でいっぱいでした。現場監督の森さんはいつも優しく丁寧で、私達の疑問や希望を聞くとすぐに駆け付けて対応し、不安を取り除いてくれる頼りになる方でした。これから先困ったことがあっても、森さんなら何とかしてくれる、と安心しています。
そして壁塗りＤＩＹでは、森さんと山崎さんが優しく教えて下さり、左官の面白さに目覚めつつ楽しく無事に終わりました。小学二年生になった長女と幼稚園年中になった次女も参戦し、二人が塗ったところはなかなか味のある仕上がりになりました。これから何年かたって二人が大きくなっても、この壁を見るたびに私達はこの家作りことを懐かしく思い出すでしょう。

楽しみな庭作り

次の外構の打合せでは、造園屋の浅見さんのもとで植栽を見学したりお話をお聞きしたのですが、家庭菜園や園芸が趣味の主人はとっても楽しそうでした。長年プランターで我慢していたので、これからは地植えで思いっきり楽しんで欲しいです。
着々と出来上がっていく新居を訪れるたび、木の香りと美しさ、考えられた動線、お願いした家具の手触りに嬉しくてにんまりしてしまいます。特に、玄関の軒裏のヒノキの美しさを見たときは、本当にこれが我が家になるのだと感動でいっぱいになりました。

子どもたちの楽しい思い出に

さて、長女の毎週末の宿題に日記があるのですが、地鎮祭や上棟セレモニーやお餅つきと、よく住暮楽さんが登場します。特にＤＩＹの珪藻土塗りでは、美しく仕上げるためにコテの角度やスピードがいかに大切か熱く書いてあり、我が子の日記ながら笑ってしまいました。そして次女の夢は、素敵な家をたくさんつくる大工さん。週末ごとに土地探しに付き合ってくれた子供達と、やっと地に足をつけて暮らしていける家がもうすぐ完成します。この住暮楽さんでの家づくりを、幼い二人が楽しい思い出として少しでも覚えていてくれたら嬉しいなと思っています。

最後になりましたが、私達夫婦に、一生忘れられない素敵な経験をさせて下さった住暮楽の皆様、本当にありがとうございました。そしてこれからも末永くよろしくお願いします。

（すみくらつうしん　２０１８年３月号より転載）

写真は後日掲載します