家づくりストーリー
住暮楽で家を建てられたお客様自身の文章を掲載しています。家づくりのヒントになれば幸いです。
大自然に囲まれた小さな週末住宅
「まぁ!まぁ!まぁぁ!!」
住暮楽カフェに初めて足を踏み入れた時の母の歓声です。
建築やインテリアが好きな母は、以前家のポストに入っていたチラシを見てから、住暮楽さんに興味津々でした。新築やリフォームの予定はなかったのですが、あの住暮楽さんのカフェということでランチに訪れたのが2016年の9月。青い扉を開けたその途端、ふわりと漂う木の香と共にあがったのが、冒頭の母の歓声でした。
ランチのつもりだったのが、勢いで上階の事務所や三階を見せていただくことに。祐子さんに案内していただきながら、広く取られた窓からの景色、ぬくもりのあるキッチン、愛情溢れるキッズコーナー等に歓声をあげる母の目がキラキラ、いえ、それを通り越してハート♡マークであったことを覚えています。見学を終え、素敵なカフェでランチを頂きながら母がぽつんと「十年若かったら…」と漏らした一言が、私の胸を突きました。
「家を建てる予定はなかった」と書きましたが、その一方で、実はセカンドハウスへの憧れはありました。父と母は父の定年後、長野県にクラインガルデン(畑付の小屋=ラウベ)を借りて13年間通い、畑仕事、山歩き、仲間との交流を楽しんでいました。私も休みのたびに同行、子供が生まれてからは、マンション暮らしの子どもが自然に触れる貴重な機会となっていました。しかし片道六時間かかる道程がきつくなり、2013年に卒業したのですが、自然に囲まれた暮らしが忘れられず、いつかまたあんなラウベを持ちたいねと、夢物語のように語っていました。また家や建築、インテリア好きの母が、長く住んでいる家に物足りない思いでいることも知っていました。
そして初めて住暮楽カフェを訪れたその夜、私は母に連絡しました。「もし、もう一度家を建てたい、という気持ちが強いんだったら、できる限り応援するよ、がんばろうよ!」。ここから、私たちの夢物語があれよあれよという間に現実になっていったのです。
知人から良い所だと聞いていた琵琶湖湖畔を、子供たちを遊ばせるついでに訪れてみると、くぬぎ林の中のゆったりとした土地が見つかりました。その土地を念頭に置きつつ、再び住暮楽の青い扉をくぐったのが、2016年十一月。対応して下さった社長の八郎さんは、「セカンドハウスの相談なのですが…」と切り出した私たちに、身を乗り出して「大丈夫です!」。しかも「ちょっと見てきましょうか」と、相談した一週間後には滋賀の奥まで見に行って下さるフットワークの軽さ!そして「良い土地です。このまま進められたら良いと思います」との一言に背中を押されて、私たちの家造りはスタートしました。
こうして「林の中の小さな小屋」というコンセプトで始まった家造りですが、ネックになったのは予算!素敵なプランは出来たものの予算オーバーで、あっちを削り、こっちを削り…設計の洋介さんと積算の上野さんにご苦労をおかけしました。ただそうやって「小ささ」を極めていく中で、「九坪ハウス」という新たなコンセプトが見つかり、また私の子供時代の愛読書であった『大きな森の小さな家』を洋介さんも読まれていたことがわかって、「これだ!」と一気にプランが固まりました。ようやく完成した「小さなお家」の設計図を元に、バトンは洋介さんから山崎さんへ。最初に「現場監督の山崎くん」として紹介された時には、「わ、お若い!」とびっくりしましたが、現場が始まると、「住みやすさ」と「バランスの良さ」を追求するその仕事ぶりと誠実さに感服しました。その山崎さんの指導のもと、漆喰の壁塗りをしたのも良い思い出です(その節は住暮楽のスタッフの皆さま、遠いマキノまで助っ人に来て下さり、本当にお世話になりました)。そうして「左官屋さんが一日も入らずに」仕上がった手作り感溢れる漆喰壁、とても気に入っています。
また家がだんだんと形を取ってくると、凝り性の母の血が騒ぎ、キッチン、水回りなどに対して新たな希望がどんどん飛び出しました。特に、一旦板張りで仕上げた洗面所の壁を漆喰でやり直してもらったことには感謝し、「どうしてもどこかにほしい!」と頼み込んだニッチ棚と並んで、大いに満足しています。
こうして「築20年超マンションのリフォーム(私)、終活(親)をほったらかして突っ走った小屋づくり」ですが、実際に暮らしてみて、住暮楽さんの家の威力が改めてわかりました。外観の可愛らしさに加え、ドアを開けると、カフェと同じように漂う木の香り、丸くて手にやさしい柱や手すり、そして厚みのある木の床の踏み心地の良さ、階段の傾斜、動線などが、住む人のことを考えて計算されていて、自宅にいるよりもずっと身体が楽なのです。この小さな家で、週末に親子孫三代揃って過ごすひと時を、大切にしていきたいと思います。住暮楽の皆さま、私たちの「夢」を「現実」にして下さって、本当にありがとうございました。
(すみくらつうしん2018年9月号より転載)