断熱について

セルロースファイバーの長所は何ですか？

　セルロースファイバーの最大の長所は断熱をすると必ず適度な気密が得られること。それにブロアでスキ間に吹き込む工法ですから、筋交い、配線、配管、コンセント、スイッチなど断熱工事の邪魔になるものがあっても問題なく断熱ができるという点です。断熱という本来の目的を十分にはたした上で、下記のような付随的な長所があります。
●防音：比重が重く、壁の中にギッシリ詰まるので防音の効果が高い。
●防火：火災時には壁がトンネル現象を起こさず防火壁になる。危険なガスが出ない。
●防虫：ホウ酸の効果でシロアリやゴキブリなど有害昆虫が住みつかない。
●防錆：ホウ酸の効果で釘や金物が錆びにくい。
●調湿：元は木なので木と同じように調湿性があり壁の中で結露しない。
●エコ：断熱材の中で唯一エコマーク認定を受けている。

ホウ酸は体に悪くないのですか？

　ホウ酸のような人類と長い付き合いのある物質はあんまり疑う必要は無いのですが、データ的にはホウ酸の経口摂取による致死量はLD50＝2000〜4000mg／体重１Kgと報告されています。体重60キロの人なら120000〜240000mgほど食べると死亡確率が50％になるという意味です。因みに劇物毒物取締法によるとLD50が300mg以下を劇物、同50mg以下を毒物と規定しています。なお食塩（NaCl）のLD50は3000〜3500mgなので、塩とホウ酸の致死量は同程度と言うことになります。

ホウ酸がシロアリやゴキブリにだけ毒性があって人間に安全なのはなぜですか？

　ホウ酸は非常に水に溶けやすいので哺乳類のように腎臓のある動物ではどんどん体外に排泄されるので、一時に大量に摂取しない限り中毒にいたりません。一方、昆虫のように腎機能のない生き物は、ホウ酸を食べると体内に蓄積し、細胞の代謝機能を阻害するので栄養不良になりやがて餓死します。

セルロースファイバー以外の断熱材は防音効果が無いのですか？

　目覚まし時計がうるさい時に布団を被せると静かになりますが、軽くてふかふかした布団よりずっしり重い布団の方が良く音が止まります。グラスウールの密度１６〜２４kg／m3に対してセルロースファイバーは６０kg／m3ぐらいあるので、セルロースファイバーの方が防音性が高いのは当然です。

セルロースファイバーは値段が高く贅沢ではないですか？

　断熱の悪い家で石油やガスをがんがん焚く方がよっぽど贅沢だと思います。住宅建設において断熱工事を渋って寒い家をつくるのは全くナンセンスだと思います。

グラスウールとセルロースファイバーの違いを教えてください。

　どんな断熱材でも、断熱の切れ目を無くし気密を確保すれば本来の性能通りの効果が得られますが、木造建築はセオリー通りに施工するのが案外難しいのです。セルロースファイバーは、フレーク状の繊維をブロアでぎっしりと吹込むので断熱の切れ目が出来ず、気密も同時に確保できるので失敗がほとんどありません。
　一方、グラスウールは、予めマット状に成型されビニール袋に入った製品をタッカーで留め付けるので、壁の中の配線、配管、筋交い、コンセント、スイッチ等が邪魔になって、切れ目無く施工するのが難しく万全を期しがたい面があります。

外断熱とセルロースファイバーはどちらが優れていますか？

　セルロースファイバーは壁の厚み空間に充填されるので、柱や梁は無断熱の熱橋として残りますが、外断熱は壁を外から覆うようにＦＰ（ウレタン発泡材など）を貼るので熱橋が出来ません。従って熱抵抗値が同等なら外断熱の方がデータ的に優れているはずです。しかし木造の場合、熱橋と言っても柱や梁は分厚い木なので、ログハウスで分かるように断熱性もかなりあって、実際の居住感で差が出るほどではありません。それに防音防火など断熱以外の利点が多いので総合力ではセルロースファイバーが優ると考えます。

外断熱の欠点は何ですか？

　外断熱では、柱の外側に数センチ厚のＦＰ（発泡プラスチック）を貼って、その上に壁の仕上げを被せることになります。そのためモルタルやサイディングのような重い面材を長いビスで留め付けるのでビスの根元に曲げ荷重がかかります。また壁の外側にそれだけ余分に分厚い層を設けながら、壁の中は空っぽというのも不自然です。

住暮楽の建てる家では、C値Q値はどれぐらいになりますか？

　古くなりますが２００３年の実測データではＣ値１．４７ｃ㎡でした。Ｑ値は熱損失を考慮しない計算で従来１．７５ｗ程度でしたが、高断熱サッシが手頃な価格で入手できるようになって来ているので、１．３８ｗぐらいのパフォーマンスは射程距離になってきました。